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少年時代:井上陽水:DTMアレンジ版

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♪ 夏が過ぎ~ 風あざみ~ ♪

井上陽水の あまりにも甘美な歌声と柔らかな言葉の数々に なぜかノスタルジックで暖かな切なさを感じさせられる音楽だね。

けれど あらためて歌詞を見てみると ほゞ意味不明なんだよ これ。しかも映画の主題歌とのことだけど それとも関係ないときている。
美しく綺麗な響きの言葉が散りばめられていて それが 陽水特有の柔らかな歌声とメロディに乗っかって流れる。しかし脈絡がないばかりか 造語も多く 意味が通じるはずもないという不思議な歌。
歌声と詩と伴奏と(それに映像) 全体が漠然としたひとつのイメージ世界を形成しているという作品なんだな。

 

さて
映画は見ていないけど どうやらラストシーンが泣けるらしいよ。

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都会から田舎へ疎開した少年と その土地のガキ大将との出会いと別れを描いた友情物語なんだと。それ聞いただけで『はは~ん』と想像できてしまわないか? そのうえ ラストシーンでは 都会へ帰る少年の乗った列車を ガキ大将が走って追いかけるという!
いやもう ここまで聞かされればさ 『エーッ? 感動押し売り?』となっちゃうよな。走り去る車や列車を追いかける という別れのパターンは昔から使い古されてるとも言えるくらいだからね。
観たいような観たくないような。がっかりするの 嫌だもんな。

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岩下志麻の映画 「少年時代」 各賞受賞の名作! 主題歌は井上陽水の ...

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しかし作りとしてはね 田舎の小学校の子どもの世界と言えども 長閑な田園風景とは裏腹に ひどいイジメがあったり 覇権争いがあったり けっこう辛くシビアに描かれているらしいんだ(原作はもっとエゲツナイんだと)。それにまあ 篠田正浩だったら きっと構成もしっかり組んで 丹念に描いているんだろうから 単なる感動押し売りではないだろうけどね。

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さて曲の方。

これは そもそも日本の田舎の夏をイメージした音楽ではないよね。
セピア色でノスタルジックな少年の夏休みではない。

上でも述べたように 「夏が過ぎ~ 風あざみ」って歌い出しがあまりにも有名だけど 実は歌詞に脈絡なし。陽水お得意の造語もあちこち散りばめられてる。今回あらためて歌詞をみてみたわけだけど 「少年時代」という言葉さえ登場してないんだよ。しかも映画のストーリーとも関係なしときてる。もう 井上陽水だから許されるってなもんだよな。

〈飲み友達の藤子不二雄から依頼されて〉〈なかなか仕上がらなかった〉〈最後はスタジオに籠って〉なんていう話の一方 〈最初は(誰か他の)女性歌手のためのB面予定だったのが 出来がいいので自分で歌うことになった〉という話もある。まあどっちでもいいけど。

アレンジもさ 全編ベースもドラムスもなくて イントロから弦楽器使ってたり 間奏部分ではナゼか急に宮廷音楽風のトランペットが鳴り響いたり。そのバロック風トランペットの裏では小太鼓がごく控えめに鳴るという 「いかにも」な味付け。

そんなのも含めてやっぱり  Beatlesだよね。
= The Beatles =
ほんとにみんな大好きなんだね。

まずはピアノのコード弾き。
イントロからいきなりガンガンとコードストロークが始まって それがエンディングまで鳴り響いてるだろ。ピアノは来生たかおが弾いてるってことだけど 嬉々として弾いてる感じが伝わってくるようじゃん?

ロックミュージックにストリングスやブラスセクションを導入する。ピアノも活躍させる。それもこれも Beatles(っていうかジョージマーティン)が先鞭つけてさ。それにみんながシビれた。シビれて育った。(もう その昔って話だ!)

デビュー当初の " Please Please Me " ではすでに ピアノが低音部分を強力にバックアップしてた。あまり目立たないけど 音の厚みって点で ピアノの倍音がとても効果的だったんだな。それがあの分厚い響きだったんだよ。
" Money " の あのゾクゾクっとするイントロ。エレキギターに沿わせてピアノが補強するって手法をとってたね。
" Lady Madonna " とか " Martha My Dear " なんかじゃ 完全にピアノが主役だ。
" In My Life " の間奏ではチェンバロの登場で そこだけバロック音楽だった。カッコ良かったな(ただし実際には 半分のスピードで録音したピアノ演奏を2倍速で再生したモノだったらしいけどね。それがあんな音になったんだ)

そして " Let it be "
「ピアノのおけいこ」なんて揶揄されたけど みんなマネっこしただろ。シンプルで印象的なコードストロークだったよね。

ストリングスアンサンブルで言えば " Eleanor Rigby " があったな。
これは純粋に弦楽合奏(八重奏)で ギターさえ入ってなかったと思う。当時のロックバンドとしては異例だったはずだ。弦楽合奏もそうだけど 歌詞が「孤独な老人」を扱っていて それも特異なこと。刺激を受けたミュージシャンは多かっただろうね。 

余談ついてでに 井上陽水の歌で ♪ 銀座へ~ ♪ ってのがあるんだけど これは 「Beatlesの  "Till There Was You" をモジった」んだと 陽水自身がどっかで語っていた。もちろん彼も大好きなんだよ The Beatles

この映画 興行的にはあまり成功ではなかったようだけど 結果的には日本アカデミー賞やら何やら多くの好評を得たらしい。
曲の方も当初はあまり注目されていなかったと。しかしそれでもなお ジワジワと生命力を保って生き続けて テレビCMに使用されたりしながら 映画とはまったく無関係に独り歩きしてたんだね。それが今となっては 井上陽水"最大"のヒット曲だってさ。昭和の名曲とも言われる。

不思議な歌だよね。

(やっぱり 映画観るか...)

 

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