この沙漠の「沙」はサンズイなんですと。
まったく知らなかったね。
漢字どころか 歌詞さえ出だしの ♪つ~きの~ さば~くを~♪ の部分しか知らなかったくらいだから。
調べてみると「沙漠」は 文学において孤独 試練 精神的修行の場 内面的な旅などで象徴的に使用されるんだとか。
そうだよね 歌詞をみれば明らかに寂しい逃避行のような情景だもんね。
王子様とお姫様 二人だけの旅。
二人はどこへゆくのでしょう
対の駱駝がとぼとぼと
砂丘を超えてゆきました
黙って超えてゆきました
。。。
「白い上着」ってのは 王侯貴族なら白地に金の縁取りなど施した「礼装」ともとれるが 「死に装束」ともとれるね。
まあどうあれ 遥か砂漠をふたりきりなんだから 恋の逃避行とか都落ちとか 明るい未来は見えてこない。
作詞者の述懐では雑誌社から「何でもいいから」と言われて書いたというこの歌ね。
砂漠 らくだ それに王子様とお姫さまとくれば 世界観は当然アラビアが思い浮かぶ。アラビアンナイト。ご当人も「何となくアラビアの砂漠に憧れはあった」と語っている。
と そこまででよかったのに。
それがだよ 歌詞のモチーフとなったのがなんと "千葉の御宿"だとあちこちに書いてあるんだね。
え〜ッ! アラビアじゃないの!
いやいや御宿を貶めるつまりはないんだけど それ聞かされたら急に陰気な印象に塗りつぶされてしまったよ。浴衣に下駄突っかけた王子様とお姫様が思い浮かんでしまってね。それってのもさ 御宿説の元となったのが 作詞者が病気療養で度々御宿に滞在していたという点にあってね。その窓から御宿の砂丘を眺めていていただろうというわけだ。病気療養と聞けば 旅館に泊まって浴衣にどてらで散歩 じゃないか?
ってなことでその説は定着していった。御宿にはなんと 実際ラクダに乗った二人の像まで建っているらしい!(記念館まで!)
ご当人はそれについてこんな感想も語っているんだよ。
「せっかく観光の目玉にしてくれているなら反対するほどのこともないでしょう」と。
(Wikiによる)
まあモノゴトには尾ひれがつくし 核心とは別の所で一人歩きするよ。
(本田勝一って人が この詞についてはコテンパンに否定しているね)
一方作曲者の方は この頃はまだ若手だったらしいが 生涯では膨大な数の曲を書いた人だった。学校の校歌一覧ってのがあるが その数たるやものすごい量だった。まあ 昔の作曲家ってのはよっぽど特殊技能者として重宝されていたんだろう。古関裕而も膨大な量の校歌を作曲している。
〘最近は物悲しいような曲が流行っているから そう言うものを書きたいと思っていたところへ ちょうどこの詞がきた〙というような まあプロの作曲家らしい述懐をしている。
ところでこの曲 井上陽水もやってたんだね 今回初めて聴いた。
でもアレンジが何だか妙な というか意味が分からないもんだったな。ヒネリ過ぎ?
(観念の世界っていえば こどもさんびかに
♪ら~くだがと~お~る かぽかぽ♪ ってクリスマスの歌がある。あれなんか 砂漠でラクダが歩いても ♪かぽかぽ♪ しないよね。砂地なんだから)